昨今の新NISAの影響からか、本屋を覗くと資産を増やすことを主体に書かれている本しか見当たりません。私自身、ここ数年は資産運用や株の本しか読んできませんでしたし、FPの資格も取って『いかに資産を築くか』を重視してきました。ただ、ある程度資産が築けてきた段階でふと思ったのは、「何のためにお金を貯めているのだろう」という単純な疑問でした。
多くの人は、生活のため、教育資金のため、老後のため、といったことがさっと思い浮かべることでしょう。私ももちろんそうなのですが、詰まるところ、将来への不安を少しでも和らげようということなのだと思います。ですが、それは正しいことだとしても、それだけでいいのでしょうか・・・。資産形成に執着し過ぎていた私にとって、この本は人生観が一変すると言っても過言でない程の衝撃的な本でした。
アリとキリギリスのイソップ童話は有名な話ですが、自由で気楽なキリギリスが死んでいったのはしょうがないにしても、アリは果たしてどうなったのでしょう。短い人生を奴隷のように働いて過ごして、いつ楽しい時を過ごしたのか。そういった疑問が浮かびます。
あなたは喜びを先送りし過ぎている‼︎
節約ばかりしていると、その時にしかできない経験をするチャンスを失う可能性があります。20代にバックパッカーで世界を放浪するのはとても良い経験ですが、家族持ちの40代・50代が同じことをしても得られることは限られるし、そもそも「愚かな人」と思われる可能性すらあります。若い頃は少ない給料やバイト代から少しづつ貯めるよりも、今しかできない経験に存分にお金を使う。その経験は時間が経っても色褪せることなく、むしろ価値は高まっていきます。
経験にお金を使う
人生で最後に残るのはお金やモノではなく、「思い出」です。お金を払って得られるのは、その経験だけではなく、その経験が残りの人生でもらたす喜び、すなわち「記憶の配当」も含まれています。なるべく早い段階、すなわち「今」自分が望む経験を思い浮かべ、先延ばしせず経験していきましょう。人生で一番大切なことは「思い出づくり」です。
ゼロで死ぬ
資産形成を主眼に置いてきた自分にとって、お金を使うことは非常に難しいことです。ましてや、死ぬまでに使い切って資産をゼロにするというのは不可能にように思えます。ですが、稼いだお金を全て使わずに死んでしまえば、人生の貴重な時間を無駄に働いて過ごしたことと同義です。実際、退職前に50万ドル以上の資産があった人では、20年後または死ぬまでにその全額の12%程しか使っていません。20万ドル以下の人でも4分の1しか減っていない。何歳まで生きるのか、重度の病気になるのか、老後の不安が絶えない中で使い切るのは不可能かもしれませんが、年を取ると思っている以上にお金を使わないことからも、元気なうちに楽しみに使って有意義な人生にしていきたいですね。