2022年4月から高校家庭科で金融教育の授業が始まり、今年からは新NISAがスタートしたこともあり、世間ではにわかに投資熱が高まっています。本屋を覗くと、新NISAに関する本がいくつも並んでいて、選ぶのに苦労するほどです。日経平均株価は34年振りに最高値を更新しましたし、新しく投資を始める人がさらに増えることでしょう。
旧NISAは2014年からスタートしましたが、これはイギリスのISA(Individual Savings Account)が参考にされました。当初は、年間投資枠120万円まで、非課税期間は5年間と有期的なものでした。2018年からは積立枠が追加され、年間投資枠40万円まで、非課税期間20年間とされました。そして、今年からの新NISAでは非課税期間が無期限となり、上限額が最大1,800万円まで引き上げられました。
私の投資歴はというと、2008年からのセゾン投信が始まりです。もともと投資に興味があって何冊か本を読んでいましたが、当時設立して間もないセゾン投信の中野晴啓氏の理念が私にはしっくりきました。直販の投資信託で、株式と債券の比率が50:50、それぞれ世界と日本が50:50のグローバルものは当時珍しく、日本の成長を疑っていた私としては最適なものでした。また、購入手数料は無料、信託報酬も0.56%前後で、当時としてはかなり低く抑えられていました。
ドルコスト平均法で月々4万円を積立投資し始めましたが、途中リーマンショックで大きく値崩れする事態に襲われました。基準価額の1万円がどんどん下がり、確か6千円を切るぐらいまでいったかと思います。投資初心者でしたので、「もっと下がるのではないか」という不安でいっぱいになり、全て売り払いたくなりましたが、「安い単価で買えるからラッキー」と信じて粛々と積立を続けました。5年ほど積立を続けましたが、長期で海外に出ることになったので一旦清算することにし、結局、積立額の倍近くの値段で売ることができました。
「株で儲けるには、安い時に買って高い時に売る」というのは鉄則ではありますが、暴落している時に買える人は正直ほとんどいません。その人の投資に対するリスク許容度は、生来のものが大きく影響すると本で読んだことがあります。そうであるならば、積立設定をして自身の感情に左右されないようにするのも一つです。
世界株式は短期的には調整があるにせよ、中長期的には上昇すると私は思っているので、インデックス型のオールカントリーはリスク分散の観点からも自分にはもってこいですが、1つだけ欠点を挙げるとしたらあまりにも「つまらない」ことです。最初に積立を設定したらあとはただ待つだけなので、それ以外にすることはなく、なんか物足りないと思いがちです。その気持ちはよく分かります。
私も一時、日本株の個別株をいくつか買って、株主優待をもらったりとか、証券会社をいくつも口座開設してIPO株を狙ったりしたことがありました。小銭程度は稼ぎましたが、苦労の割には稼げないし、米国個別株だと日本時間の夜中になるので気になって眠れなくなったりして弊害の方が多かったです。
結局、今の私の投資スタイルはNISAとiDeCoはオールカントリーのインデックス型で、それにプラスしてVTI、VIG、QQQのETFでほぼ8割方、残りは米国の個別株が少しと債券型のETFでほぼほぼです。今のスタイルは自分にはベストとは言わずともベターかと思っていますが、ここに落ち着くまで15年程費やしました。人それぞれ考え方も違うし、同じ人でも時間が経つにつれて考え方も変わってくるので、いきなり大きな額を投入するのではなく、最初は少額で色々試してみて、自分のスタイルを確立するのが良いのではないでしょうか。